EMSエアフロー/GBT(Guided Biofilm Therapy)
- 評価(アセスメント)
虫歯、歯周病、インプラントの状態などを総合的に評価します。
お口の状態を正確に把握し、最適なケア計画を立てます。 - 染め出し(開示)
特殊な染め出し液を使い、バイオフィルムを可視化(色付け)します。
磨き残しが一目でわかり、バイオフィルムが残っている場所を正確に除去できます。 - 動機付けと指導
染め出された場所に基づき、正しい歯磨き方法を指導します。
自分の弱点を知り、自宅でのセルフケアの質が向上します。 - エアフロー(バイオフィルム除去)
EMSエアフローの微細パウダーと温水を用い、歯ぐきの上と下のバイオフィルムを除去します。
歯や歯ぐきを傷つけるリスクを抑えながら、細菌の塊と着色をきれいに取り除きます。(痛みが軽減される) - ペリオフロー(ポケット内除去)
必要に応じて、深い歯周ポケット内のバイオフィルムを追加で除去します。
歯周病の原因菌をより低侵襲に除去でき、歯周病の進行を抑えます。
ピエゾン(歯石除去),残った歯石のみを、EMSピエゾン(微細振動)を用いて除去します。
超音波の刺激や不快感を軽減しつつ、硬い歯石だけをピンポイントで除去します。 - 最終確認
歯石やバイオフィルムの除去漏れがないか確認します。
徹底的に汚れが除去された状態を維持できます。 - リコール(定期検診)
今後の再評価(定期検診)の間隔を設定します。
適切なタイミングで継続的なケアを受けられ、常に健康な状態を保てます。EMSエアフロー/GBT(Guided Biofilm Therapy)に関するよくある質問(FAQ)
- QGBTとは何ですか?従来の歯のクリーニングとどう違うのですか?
- AGBTは「Guided Biofilm Therapy(導かれたバイオフィルム療法)」の略で、虫歯や歯周病の原因となる「バイオフィルム(細菌の塊)」の除去と管理に特化した、科学的根拠に基づく体系的な予防プログラムです。
従来のクリーニングが主に硬い歯石や着色に焦点を当てるのに対し、GBTはまず染め出し液でバイオフィルムを可視化し、それからEMSエアフローの微細パウダーと温水を用いて優しく除去する、より精密で低侵襲な方法です。- Qエアフローはどのような汚れを落とせますか?
- A主に次の3つの汚れを効果的に除去できます。
・虫歯や歯周病の原因となる「バイオフィルム」。
・コーヒー、紅茶、タバコなどによる「着色(ステイン)」。
・初期の歯石。- Qエアフローは本当に痛くないのですか?
- A従来のクリーニングと比較して、痛みを大幅に軽減できるように設計されています。その主な理由として、①歯や歯ぐきに直接金属の器具が当たる機会が少ないこと、②クリーニングに使用する水を体温に近い温度(最大40℃)に加温できる機能があること、が挙げられます。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの方にとって快適な処置です。
- Q施術中、歯がしみることはありますか?
- A冷水が原因でしみる感覚(知覚過敏)を避けるため、EMSエアフローには給水温度管理機能が搭載されています。
この機能により、水温を調整できるため、冷水刺激による不快感は軽減されることが期待されます。- Q歯石も取れますか?
- Aエアフローは主にバイオフィルムと初期の歯石を除去します。
硬く、大きく成長した歯石については、GBTプロトコルの手順に基づき、振動が細かく低侵襲なEMSの「ピエゾン」という超音波スケーラーを用いて、丁寧に除去いたします。- Q喫煙者でも着色がきれいになりますか?
- Aはい。EMSエアフローは、タバコのヤニによる頑固な着色(ステイン)も効果的に除去できます。
ただし、着色は付きやすい習慣によるものですので、きれいな状態を保つためには定期的なメインテナンスが必要です。- QEMSエアフローで歯が削れることはありませんか?
- Aエアフローで使用するパウダーは、従来の研磨剤と異なり、粒子が非常に細かく、硬さも柔らかい「エリスリトール」が主成分です。
このため、歯の表面(エナメル質や象牙質)、インプラント体などを傷つけるリスクを抑えながら清掃できるよう配慮されています。- Q施術にかかる時間はどれくらいですか?
- Aお口の状態(バイオフィルムや歯石の付着量、歯周ポケットの深さなど)によって異なりますが、通常のクリーニング(GBTプロトコル全体)で30分〜60分程度を目安としてください。
- Qインプラント治療中でも受けられますか?
- Aはい、むしろ推奨しております。
インプラント周囲炎の原因となる細菌(バイオフィルム)はインプラント体を傷つけずに除去することが重要です。
EMSエアフローは、インプラント体を傷つけるリスクを抑えながら、周囲のバイオフィルムを安全に除去できる専用パウダーとチップを備えています。- Q矯正治療中でも受けられますか?
- Aはい、可能です。
矯正装置(ブラケットやワイヤー)の周囲は非常に汚れが溜まりやすいですが、通常の器具では清掃が困難でした。
EMSエアフローは、装置を避け、細部にまでパウダーと水流が届くため、装置を外すことなく周囲を徹底的に清潔に保つことができます。- Q被せ物や詰め物があっても問題ありませんか?
- A 問題ありません。被せ物や詰め物の材質(セラミック、金属など)を傷つけるリスクを抑えながら、それらに付着したバイオフィルムや着色も優しく除去できます。
- QGBTで使用するパウダーは安全ですか?
- Aはい。主に使用される「エリスリトール」は、食品添加物としても用いられる天然の糖アルコールで、生体親和性が高く、非常に安全性の高い成分です。
- Qパウダーを吸い込んでしまっても大丈夫ですか?
- Aパウダーは非常に微細ですが、治療中は口腔外バキュームを使用し、パウダーの飛散を最小限に抑えています。
万が一、少量吸い込んだとしても安全性の高い成分ですのでご安心ください。- Q妊婦でも受けられますか?
- A妊娠中でも、EMSエアフローを用いたクリーニングを受けていただくことは基本的に可能です。
妊娠中はホルモンバランスの変化で歯肉炎になりやすい傾向があるため、むしろ積極的な予防ケアをおすすめします。
必ず事前に担当医または歯科衛生士にご相談ください。- QEMSエアフローは子供も受けられますか?
- Aはい、受けられます。
小児の歯や生えたての永久歯は虫歯になりやすいため、EMSエアフローの優しく低侵襲な清掃は効果的です。
お子様の虫歯予防にも貢献します。- Q金属アレルギーがありますが、受けられますか?
- AEMSエアフローは金属製の器具の使用を最小限に抑えたシステムです。
パウダーの主成分はエリスリトールであり、金属を含んでおりませんので、基本的に金属アレルギーの方でも安心して処置を受けていただけます。- Qどれくらいの頻度で受ければ良いですか?
- AGBTプロトコルでは、患者様一人ひとりの口腔内の状態(歯周病のリスク、バイオフィルムの付着スピードなど)を評価し、最適なリコール(定期検診)間隔を設定します。
一般的には3ヶ月〜4ヶ月に一度の頻度を推奨しております。

「歯医者でのクリーニングは、水がしみてつらい」
「知覚過敏だから、冷たい水が苦手だ」
「歯を削るような、ガリガリとした音が苦手で緊張してしまう」
こうした不安や不快感が原因で、定期的な歯科検診から遠ざかってしまう方は少なくありません。
しかし、虫歯や歯周病の予防には、プロフェッショナルなクリーニングが不可欠です。
当院では、患者様がストレスなく、安心して予防ケアを継続できる環境を提供するため、予防歯科の世界標準プロトコル「GBT(Guided Biofilm Therapy)」に基づいた最新機器、スイスEMS社製の「エアフロー プロフィラキシス マスター/エアフロー ワン」を導入しております。
この新しいシステムは、患者様の不快感を極力軽減し、同時に高い予防効果を実現するために開発されたものです。
EMSエアフローの主な特長とメリット
EMSエアフローは、患者様の快適性を最優先に考えた機能設計がなされています。
1. 【知覚過敏の方に】温かい水で行うクリーニング

冷たい水が歯にしみる「知覚過敏」は、クリーニングを遠ざける大きな理由の一つです。
EMSエアフローは、給水温度管理機能を備えており、クリーニングに使用する水を最大40℃まで加温できます。
これにより、冷水による「キーン」とした刺激や不快感を軽減し、特に知覚過敏の方や、冷たい水に敏感な方も、リラックスして処置を受けていただくことが期待されます。
2. 【痛みを抑えた歯石除去】微細振動のピエゾンシステム
歯石は、歯ブラシでは取れない硬い塊です。
従来の歯石除去(スケーリング)は、金属の器具が歯に当たる不快な音や振動を伴うことがありました。
EMSエアフローの「ピエゾン」機能は、歯石除去に使用する超音波振動のチップ(PSチップ)が従来の機器よりも振動が細かく、低侵襲な設計となっています。
これにより、歯や歯ぐきへの負担を抑えながら、硬い歯石を効果的に除去できます。
不快な「ガリガリ」という感覚や、歯に当たる刺激が軽減されるよう配慮されています。
3. 【デリケートな部位にも安心】インプラント・矯正治療中のケア

インプラントや矯正装置の周囲は、汚れが溜まりやすく、かつデリケートなため、通常の器具では傷つけてしまうリスクがありました。
EMSエアフローの専用チップは、インプラント体や被せ物、矯正装置を傷つけるリスクを抑えながら、周囲に付着したバイオフィルムや歯石を安全かつ徹底的にクリーニングできます。
これにより、高額なインプラントや大切な矯正治療中の歯を長期的に清潔に維持することが可能になります。
4. 【リラックスできる処置】操作性の配慮がもたらす安心感

EMSエアフローは、歯科医師・歯科衛生士側の操作性にも配慮されています。
これは結果的に、患者様の安全と快適さに繋がります。
軽量で細身のハンドピースは、お口の奥や複雑な部位へのアクセスをスムーズにします。
また、タッチパネルによる出力調整機能は、担当者が患者様の状態に応じて、瞬時にクリーニングの強さを細かく調整できるため、不必要な刺激を避け、最適な強さで処置を受けていただくことが可能です。
EMSエアフローの核心—清掃方法とパウダーの効果
EMSエアフローによる清掃の核心は、水流とパウダーを組み合わせた「非接触の清掃」にあります。
清掃方法の違い:「機械的接触」から「水流とパウダー」へ

従来のクリーニングは、主に手用スケーラーや超音波スケーラーのチップといった硬い器具が、歯面や歯周ポケット内に直接接触し、歯石や汚れを「削り取る」手法でした。
対してEMSエアフローの清掃は、エアフローヘッドから噴射される微細なパウダーと温水、空気の混合ジェットを汚れに当てることで、バイオフィルムや着色を優しく洗い飛ばします。
低侵襲性(歯を傷つけにくい)
硬い器具による機械的な接触が少ないため、歯の表面(エナメル質や象牙質)、セメント質、インプラント体を傷つけるリスクを抑えることができます。
これは、歯の長期的な維持に繋がります。
隅々まで届く
微細なパウダーの粒子が水流に乗って、歯ブラシや従来の器具では届きにくい歯と歯の間、歯周ポケットの内部、複雑な形状の矯正装置の周囲にも均一に行き渡り、汚れを除去します。
パウダーの効果:「エリスリトール」でバイオフィルムを分解
EMSエアフローで使用されるパウダーは、一般的な研磨剤とは異なり、主に「エリスリトール」という成分を主成分とした微細な粒子が用いられます。
このエリスリトールパウダーは、歯肉に触れても刺激が少なく、歯面を優しく守りながら、バイオフィルムを効果的に除去できるため、GBTプロトコルにおいて必須の要素となっています。
比較項目 | 従来のパウダー(重炭酸ナトリウムなど) | EMSエアフローの主成分(エリスリトール) |
---|---|---|
粒子のサイズ |
比較的大きく(約60~100µm)、硬い。 |
非常に小さく(約14µm)、柔らかい。 |
歯肉への刺激 |
サイズが大きいため、歯肉に当たると痛みを感じやすい。 |
粒子が細かく柔らかいため、歯肉を傷つけずにポケット内も清掃可能。 |
主たる効果 |
主に強固な着色(ステイン)の除去。 |
バイオフィルムの分解・除去が主目的。着色除去も同時に行う。 |
EMSエアフロー(GBT)と従来のクリーニングの比較
比較項目 | 従来の一般的なクリーニング (手用器具・超音波スケーラー) |
EMSエアフロー GBT(Guided Biofilm Therapy) |
---|---|---|
主な清掃方法 |
金属の器具を用いた機械的な接触や研磨ペーストによる摩擦。 |
微細パウダーと温水を用いた水流(エアフロー)による非接触での清掃。 |
主なターゲット |
目に見える硬い歯石や着色(ステイン)。 |
虫歯・歯周病の原因菌である「バイオフィルム」。 |
処置の手順 |
歯石除去が先行し、その後に歯面研磨を行うことが多い。 |
バイオフィルムを染め出しで可視化してから除去。(GBTの体系化された手順に沿って実施) |
知覚過敏への配慮 |
一般的に常温の水道水を使用する。 |
給水温度を最大40℃まで加温可能。冷水刺激による不快感を軽減する配慮がある。 |
バイオフィルム除去 |
器具の機械的な接触や研磨ペーストに頼る。 |
微細なパウダーと温水を用いた水流で、歯面を傷つけるリスクを抑えながら除去。 |
歯石除去(スケーリング) |
器具の先端が硬い歯石に当たる際の振動や音が大きく、不快に感じやすい場合がある。 |
振動の細かい特殊なピエゾン(超音波)チップを使用。歯や歯ぐきへの負担と不快感を軽減するよう配慮されている。 |
インプラント・矯正中 |
金属の器具を使用する場合、デリケートな装置やインプラント体を傷つけるリスクがある。 |
専用の柔らかいパウダーとチップを使用し、インプラントや矯正装置を傷つけることなく安全にケアできる。 |
予防プロトコル「GBT(Guided Biofilm Therapy)」
EMSエアフローが最大限の効果を発揮するのは、「GBT(Guided Biofilm Therapy)」という体系化された手順に沿って使用されるからです。
GBTは、「バイオフィルムの染め出しによる可視化」から始まり、「エアフローによる除去」「残った歯石の低侵襲な除去」を経て、ホームケア指導に至る8つのステップから成り立っており、科学的な手順に則って、すべての患者様に一貫した高水準の予防ケアを提供します。
GBTの具体的な8つのステップ
