口腔内細菌
私たちの口は、食物接種・呼吸・社会生活により外界から常に細菌が入ってきています。
細菌はたまたま入ってきてすぐいなくなるものと、口の中に住み着くものがあります。住み着いているものを口腔常在菌といいます。常在菌には、無害なものも有害なものもいますが、代表的な菌は以下の通りです。
- Streptococcus salivarius:舌表面の最優勢菌種である。
- Streptococcus mitis:頬粘膜および歯牙表面に生息している。
- Streptococcus sanguis:歯牙表面に生息する口腔レンサ球菌で齲蝕病原性は弱い。
- Streptococcus mitior:口腔レンサ球菌で齲蝕病原性はないとされている。
- Streptococcus mutans:歯牙表面に主に生息するが検出頻度は低い。しかし、齲蝕病巣からは確実に分離される。菌体外グルカンや乳酸の産生、酸性条件下での増殖能などから齲蝕の原因菌とされている。
- Porphyromonas gingivalis:歯肉溝に生息し、歯周疾患の原因菌として注目されている。
- Bacterionema matruchotii:歯垢に生息する線維状または多形態性のグラム陽性桿菌である。
- Propionbacterium acnes:嫌気性無芽胞グラム陽性菌で、糖を発酵してプロピオン酸と酢酸を産生する。主に皮膚と腸管に生息している。
このように、多くの菌が生息しており、むし歯や歯周病をおこすと考えられています。サングイス菌(Str. sanguis)は、心内膜炎・ベーチェット・川崎病との関連が研究されています。
ミュータンス菌(Str. mutans)は、むし歯の17%、むし歯でない歯の1.5%で分離されるので、むし歯の原因菌と考えられています。しかし、この菌だけでむし歯になるのではなく、他にも多くの菌が関係し、さらに菌の定着=病気という単純なものではなく、口腔内の総合環境によって発症するものです。たとえば次のような研究があります。
乳歯う蝕発生においてミュータンス菌(Str. mutans)の糖質摂取、歯質耐酸性のう蝕要因としての関連性を調べる目的で、 生後13ヵ月から17ヵ月の無う蝕の子供29名を対象とし、初回、半年後、1年後の3回にわたりう蝕発生の状態と歯垢中レンサ球菌の培養による検出、また歯垢の酸産生力、さらにその期間中の間食による糖質の摂取状態を問診により調査した。歯垢の酸産生力とう蝕発生あるいは、ミュータンス菌の出現との間に関連性がみられたものの、乳歯う蝕発生とミュータンス菌のみとの関連度よりも、糖質摂取、歯質の耐酸性要因を加えた場合に高い相関性が示された。



